ストーン・天然石施工要項
天然石の色合いについて
天然石は自然が生み出した産物です。染みや色ムラのように見えるものは自然石の模様ですので不良ではございません。石材の一枚一枚に同じ物はありません。同じ山の岩塊から採石したものでも、 同じ色調と模様のものはないことをご理解ください。ご注文は製造ロットを揃えて順に出荷しております。
追加のご注文をいただいた場合はロットが変わる可能性がございます。ご了承ください。ロットが変わると石目模様や色合いの濃淡が異なる可能性がありますので、できるだけ一括でご注文いただくことをおすすめします。
寸法について
石材を形成時に寸法・厚み・矩手には多少の誤差が生じます。寸法や矩手の誤差を吸収するために、また施工後の破損や剥離を防ぐためにも、張りしろは十分に確保し、誤差を逃がせるように割付してください。
吸水率について
全ての天然石には吸水性があります。石種により吸水率は異なります。
石材は内部に水分を吸収します。寒冷地の屋外へ施工した場合、吸収された水分が凍結し、石材の割れやヒビを発生する可能性がございます。寒冷地以外の屋外への施工はこれに限りません。
汚れや洗剤は、石材内部へ浸透する可能性があります。内部に残った汚れや洗剤は変色の原因となります。
石材の美観を保つために、撥水剤*・保護剤等*のメンテナンス用品*のご使用もご検討ください。
当社では石材の撥水剤や保護剤・メンテナンス用品の取り扱いはございません。
経年による変化について
天然石は様々な鉱物により形成されており、鉄分を含有する石種は多くあります。サビが生じる原因はご使用環境により異なります。「水がかりでサビが誘発される」「洗剤洗い後の酸残りでサビが誘発される」「飛散物の付着によりサビが発生する」等のサビ発生はあらかじめご理解ください。
また、粘板岩など層状から成る石材は、経年により表層がはがれ新しい層が表出することがあります。色調や柄模様が変化して見える場合があります。
磨き仕上げの天然石は、経年により光沢が落ちてきます。これらは自然石においての通常起こり得る経年変化です。不良ではございませんため予めご了承ください。
石種による注意点
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■ 大理石
- 酸に侵されますので屋外での施工や、酸洗いや酸性洗剤の使用をしないでください。
- 浴室等の湿潤場所への施工には、表面の劣化や黄変を防ぐため、保護剤や撥水剤の塗布をおすすめします。
- 裏映りを防ぐために、白い大理石の施工には白セメントと寒水石や白色接着剤の使用をお勧めします。
- 目地詰めの際、養生テープ等で養生を行う事。商品と同色系統の目地材を使用していただくことをお勧めします。
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■ みかげ石
- 鉄分を含む場合がございます。酸洗いや酸性洗剤の使用により、サビを誘発する可能性がございます。
- 浴室等の湿潤場所への施工には、表面の劣化や黄変を防ぐため保護剤や撥水剤の塗布をお勧めします。
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■ 割肌石材
- 乱形石は未加工で施工した場合の数量で出荷致します。施工方法により必要数量が異なりますが、20~30%多めにご注文いただきます事をおすすめします。
- 層状に形成される石材には、各層間の界面の隙間がある場合がございます。強制的に剥離を行ってから施工してください。
- スレートやクォーツは鉄分を含む石材です。酸洗いや酸性洗剤の使用によりサビを誘発する可能性がございます。また、製造工程上、すでにサビが付着している場合もございます。
- 表層に細かい剥離が見られる場合がございますが、割肌石材特有の一時的なものであり、劣化を示すものではございません。
■ 天然石全般
- 石材の硬さは岩石を構成する鉱物の硬さと鉱物の組織によって決まります。石材には火成岩・堆積岩・変成岩とありますが、柔らかな質の石は形成加工時に角がこぼれることがあります。 角のこぼれが気になる場合は、余分のパーツと取り換えるなどの現場でのご対応をお願いします。
屋内壁 適応下地ボード目安
石材の厚さ | 下地ボード |
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15mm以下 | せっこうボード 9.5mm厚以上 けい酸カルシウム板 比重1.0 6.0mm厚以上 合板 1類以上 9.5mm厚以上 デラクリートセメントボード |
15mmを超える | けい酸カルシウム板 比重1.0 6.0mm厚以上 合板 1類以上 9.5mm厚以上 デラクリートセメントボード |
■ 屋内壁 全面接着張り
タイル・レンガ・石材用の弾性接着剤を使用した場合です。適用下地に、内外装タイル張り用弾性接着剤で適用石材パネルを張付けます。下地メーカーの施工マニュアルをご確認の上、適切な納まりおよび防水・防火処置を実施してください。また、詳細についてはJASS26 内装工事 JASS11 木工工事を参照し、必要に応じて下地補強を実施してください。
※屋外壁の推奨下地は専門業者の方にお尋ねください。
壁施工
張付材料に、既成調合セメントモルタルやポリマー配合セメントモルタルなどを使用します。 JASS19 セラミックタイル張り工事標準仕様書の下地・タイル形状区分により、適用工法を選択してください。 また、伸縮調整目地の位置を適切に設置し、タイルがまたがらないよう割付に注意します。
施工の注意点
- 石材用接着剤で施工を行ってください。
- ホワイト・ピンク系の大理石及び吸水性の高い石材を施工する場合は、必ず白色接着剤で施工してください。
- 木質下地の場合、施工後にアクが出ることがあります。施工前にアク止めの処理をおこなってください。
- 施工前に下地の上に汚れ・ホコリ・油分がないようによく清掃してください。
- 下地に不陸やヒビがある場合、下地処理をしてから施工してください。
内装壁・接着剤張り
適用下地はモルタル、コンクリート、EPC、ALCパネル、ボード類とします。 接着剤は開封後直ちに使用してください。 接着剤をクシ目ごてを用いて必要な量および高さになるように塗布します。 接着剤の一回当たりの塗布面積は、接着剤の張付け可能時間内に張り終える面積としてください。 下地表面が濡れている場合は、乾燥させた後、接着剤を塗布してください。 サッシなどの部材を汚さないように事前に養生テープなどで養生してください。 吸水調整材やシーラーなどを塗布すると、本来の接着性を発現しない場合がありますのでご注意ください。 接着剤の厚みが厚くなると、接着剤の硬化が遅くなり剥離の原因となる危険性があります 。
接着剤カテゴリー
内装壁・改良圧着張り
圧着張りの張付けモルタルがオープンタイムの影響を受けやすく接着不良につながる点を改良した工法です。 張付けモルタルを下地面に塗り、さらにタイル裏面全体にも張付けモルタルを塗付けながら壁面に押し付けて張ります。 下地側に張付けモルタルを塗った直後にタイル張りをすると、タイルにズレが生じる場合がありますので、ある程度締まった後にタイルを張付けることが重要です。 タイルの裏面に張付けモルタルを塗付け、タイルを直ちに張付ける作業手順とします。
下地について
下地モルタル作製は、コンクリート打設後、養生4 週間以上を目安としてください。コンクリートとモルタルの収縮率変化で、剥離の危険性が大きくなります。 同様に、下地モルタル作成後も、タイル張りまでは養生4 週間以上を目安としてください。 品質基準に適合した吸水調整材を塗布し、セメント系下地調整厚塗材2種( CM-2) で不陸および下地の調整を実施してください。押出成型セメント板は、リブ付き 専用パネルを使用しパネル素地面への直張りとしてください。ALCパネルへの張付けは、30 ㎏ / ㎡(張付けモルタルを含む総重量)以下を目安としてください。
美しく仕上げるポイント
石には濃淡の幅があります
画像はライトストーン600x300のシルバーグレーの1枚です。 商品によって色合いや特長は異なりますが、1枚の中で濃淡の差が大きい大ぶりな模様の石があります。
こういった濃淡の幅がある石は、施工の際には必ず数ケースを混ぜ合わせてください。仮置きをして全体の仕上がりバランスを見てから張り込んでください。石目模様のバラつきや色合いを仮置きで整えから張るようにしてください。
石目の流れは配置を決めましょう
流れのある石は並べ方で印象が変わります。
石目の流れる方向を合わせるベーシックなスタイルは、スタティックで穏やかな印象です。反対に石目の流れをランダムにした並べ方には、躍動感があり大胆でダイナミックな印象が残ります。
全ての石が同じ角度で色や柄が揃うことはありません。また、石目の模様がない部分もあります。仮置きの段階で石の配置を決めておきましょう。
お手入れ
普段のお手入れ
軽い汚れの場合は水を硬く絞った布で拭き取ってください。 汚れが水拭きで落ちない場合には、薄めた中性洗剤を布に含ませて汚れを拭き取ってください。 その後、水を含ませた布で表面に残った洗剤を必ず取り除いてください。 最後に乾いた布で乾拭きをしてください。
自然の汚れを吸い込むことにより石本来の美しさが際立つこともあります。変化を受け入れ、楽しむことも天然石の醍醐味のひとつです。
洗剤について
強酸・強アルカリ性の洗剤や漂白剤を使用すると、表面が変色したり、侵されることがあるため、使用しないでください。万が一付着した場合は速やかに拭き取り、水でしっかり洗い流してください。 重曹・セスキ炭酸ソーダ・酸素系漂白剤・メラミンスポンジ・アセトンの使用も石材表面の艶が変わる可能性がございますので、目立たないところで一度試してから使用可否をご判断ください。 クレンザー等の研磨剤でこすると表面の艶が変わります。ご使用はお控えください。